泌尿器科
本邦では前立腺癌の患者数が年々増加傾向にあります。
前立腺癌の早期発見には血液のPSA検査が有効で、最近では検診によるPSA検査も施行され、その結果より前立腺癌が疑われ当院を受診される方も多くなっています。前立腺癌が疑われる方には積極的に経直腸的前立腺生検やMRI検査を施行して、前立腺癌の早期発見に努めております。
また、人口の高齢化による排尿障害や頻尿を訴えられる方(前立腺肥大症や過活動膀胱など)は男女を問わず増加しています。
男性の排尿障害や頻尿の原因で最も多い前立腺肥大症について、最近では内服薬の種類の増加による保存的治療を選択される方が多くなり、以前と比較して手術する方は減少傾向です。また、40歳代以上の女性に多くみられるようになる頻尿や尿意切迫感(トイレに行くまでに尿が漏れそうになる感覚)を伴う過活動膀胱についても、当院では尿沈渣の検査とエコーによる残尿測定のみで、受診当日よりの治療開始が可能で内服により多くの方が改善を認めています。
特徴・強み
当院では原則として前立腺生検は痛みが無いように腰椎麻酔にて施行し(1泊入院)、前立腺癌の有無を診断しています。近年、初期段階での前立腺癌の発見が多くなり、患者さんには種々の治療方法を選択していただけるようになりました。
前立腺癌の根治治療の1つに前立腺全摘除の手術療法があり、近年では泌尿器科医が複数いる施設ではロボット手術や腹腔鏡による手術が行われているところもあります。当院にて施行できないロボット手術や放射線治療を希望される方は、金沢大学附属病院や富山大学附属病院などへ紹介をさせていただいています。
また、前立腺癌であっても少量の癌で悪性度の低いものであれば、監視療法(3か月に1回のPSA採血など)による無治療観察も可能な方もいて、いかに早期発見が重要であるかと思われます。
膀胱癌や尿路結石などで内視鏡による手術が可能な方の手術は積極的に当科にて施行しており、悪性腫瘍手術は全手術症例の半数以上を占めています。膀胱癌の内視鏡治療では、5-アミノレブリン酸(商品名アラグリオ)内服後に蛍光膀胱鏡を用い、癌を赤く光らせて切除する光線力学診断を用いた治療を積極的に施行しています。
また、表在性膀胱癌に対しては、術後の再発予防として外来にてBCGの膀胱内注入療法も多数施行し、再発抑制効果を認めています。
当科はしばらく経験豊富な医師1人での診療体制でしたが、最近では週1回所属医局の金沢大学より派遣の専門医による外来診療も開始しています。これにより大学病院での最新の情報に基づいての治療も施行できています。また、開腹による多人数の泌尿器科医が必要な手術の時には、金沢大学附属病院や近隣の病院などより応援医師を要請し当院にて手術を施行することもあります。
<ガイドライン一覧>
- 食道癌治療ガイドライン
- 尿路結石症診療ガイドライン
- 前立腺癌診療ガイドライン2012
- 腎癌診療ガイドライン2011
- 前立腺肥大症診療ガイドライン
- 精巣腫瘍診療ガイドライン2009
- 膀胱がん診療ガイドライン
医師プロフィール
氏名 | 役職 | 専門分野 | 資格 |
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石田 武之 | 泌尿器科部長 | 泌尿器科一般 前立腺癌 膀胱癌 |
日本泌尿器科学会認定専門医 |
加納 洋 | 非常勤医師 | 泌尿器科一般 | |
中川 竜之介 | 非常勤医師 | 泌尿器科一般 | |
鳥海 蓮 | 非常勤医師 | 泌尿器科一般 |