脳神経外科
特徴・強み
当院の脳神経外科は原則として午前中の診察となっております。金曜日の8時30分まで救急当番の対応のため午前外来が休診になることがありますので、ご注意ください。
当院は脳神経内科と連携して一次脳卒中センターを取得していますので、脳卒中を主に扱っております。
外来で脳卒中を扱うというよりは主に救急患者さんの対応と言うことになります。当院では脳卒中の治療ガイドライン2021年の改訂版2023を使用して、治療をしておりますが、やはり発症から4.5時間までの超急性期の血栓溶解療法を目指しております。これを成功させるためには患者さんが脳卒中と気がついて救急車に乗ってもらえるかどうかが鍵になります。おかしいと思ったら、どうぞ119番通報をためらうことなくお使いください。
また、救急で多いのはやはり、頭部外傷です。軽症から重症まで様々な患者さんがおられます。外来に歩いて来られる方もおられますが、その中に急性硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血の患者さんも含まれております(殆どは問題なく帰宅されます)。症状がないからと言って放置するのは大変危険です。高齢者はtalk and deteriorateといって、会話可能な状態から急速に意識障害が進行し死に至る場合もあります。特に夜間は寝ているのか意識障害なのかは、判別がつきません。必ず脳神経外科のいる診療所か病院、もしくは救急車に乗って二次救急病院に行くようにしてください。
当院はケアミックス病院と言って急性期病棟・地域包括病棟、回復期リハビリテーション病棟を持っています。
脳神経外科に入院された患者さんはシームレスで生活期に至るまで入院加療が可能です。
主治医も変わりませんので安心して入院生活が送れます。もちろんリハビリテーションも充実しており、週1回のカンファレンスも行い、患者さんそれぞれに見合った療養を提案いたします。
外来患者さんのほとんどは、「頭痛」と「めまい」を心配して来られます。当科では原則として当日の内に頭部X線CT検査を行い、脳出血や脳腫瘍が無いかどうかを調べます。
診察の結果、必要に応じてMRI、核医学検査(脳血流検査・MIBG心筋シンチ・Datスキャン)、脳波、誘発電位などを予約していただき、さらに精密に調べます。
当科の入院患者さんはほとんどが脳血管障害です。次いで頭部外傷(脳挫傷・急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫)、で保存的治療で良いと判断した症例が占めております。手術(血管内手術も含みます)が必要な患者さんは、積極的に富山大学附属病院に紹介しております。
また、脳卒中等で麻痺が生じた後に痙縮が来る事があります。この様な患者さんには、ボツリヌス療法やバクロフェン持続髄注療法等も行っています。
また慢性疼痛に対する脊髄刺激も行っております。
金曜日の午後からはパーキンソンなどに対する脳深部刺激療法などの特殊外来も有ります。もちろん通常外来でもパーキンソン病の診断から治療もしています(脳神経内科でも可能です)。
また、がんの患者さんで脳転移を来した患者さんは、入院・外来問わずに積極的に定位放射線治療を受けていただくために富山サイバーナイフセンターに紹介しております。(手術が必要な症例は富山大学附属病院に紹介しています。)
その他最近では片頭痛に対するCGRP製剤を使って、片頭痛患者さんのQOLを上げるようにしております。片頭痛も新しい製剤が出てきて、大変喜ばれております。
また、認知症にも積極的に関与してます。認知症はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症の4病型がありますが、きちんと区分けできるものではありません。
どの病態に近いか詳しく問診したり、MRIや脳血流検査などを施行して患者さんに合わせて投薬治療をしております。中には治る認知症の慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症
も含まれています。診断がつけば当院で手術をいたします。
また新しい認知症の薬の「レカネマブ」はアミロイドβを除去する画期的な薬ですがARIAという合併症が出ることがあり、脳卒中専門医もかかわることが脳卒中学会より推奨されています。当院でもすでに、院内体制を整え使用できるようなりました。
ボツリヌス療法治療実績
頭痛について
旭雄士先生が4月9日、10日発行の北國新聞「丈夫がいいね」に取り上げられました。
日本人の3~4人に1人は頭痛もちと言われるほど、頭痛は日常の症状です。 頭痛のために日常生活が正常に過ごせない方もおられます。 頭痛は立派な病気です。迷わずに脳神経外科を受診して下さい。 頭痛には色々な種類があり、治療法も違います。 頭痛といってもさまざまなタイプがあり、国際頭痛学会によるとなんと200種類以上に分類されます。 頭痛診療では、患者様がお悩みの頭痛が、どのタイプの頭痛なのかを見分けることから始まります。 脳神経外科ではではさまざまな頭痛の方々に対して適確な診療・治療で有意義な日常生活を送れるようにお役に立ちたいと考えています。
■ 一次性頭痛
慢性的に頭痛が繰り返し起きるのに、脳に明らかな異常が認められない頭痛で、慢性頭痛や習慣性頭痛と呼ばれます。 通常は命に別状はありません。 来院されるほとんどの方がこのタイプで、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがその代表です
●片頭痛
脈打つようなズキンズキンとした頭痛が、月に1~2回、多いときには週2~3回ぐらいの割合で起こります。 痛みは数時間から人によっては3日間ほど持続します。 動くとガンガンと頭に響いてつらい、光や音に敏感になる、吐き気をもよおすなど日常生活に影響するほどの症状を伴うこともあります。当院では、片頭痛の予防薬である抗CGRP抗体製剤の注射も2021年7月から始めました。詳しくは脳神経外科外来までお尋ねください。
●緊張型頭痛
ギューと頭を締めつけられるような重苦しい痛みが毎日のように起こる、持続的な頭痛です。 ズキズキした痛みと感じる人もいます。 目の疲れや身体のだるさ、めまいといった症状を伴うことがあります。
●群発頭痛
目の奥などに強烈な痛みが半年~2年に一度、1~2か月間毎日のように集中して起こります。 その起こり方が群発地震のようなので、群発頭痛と呼ばれています。 激しい痛みは1~2時間続き、その後、自然に治ります。 睡眠中に激痛で目が覚めたり、目の充血や涙、鼻水などを伴ったりすることもあります。
■ 二次性頭痛
脳卒中(クモ膜下出血、脳内出血、脳梗塞)や脳腫瘍、髄膜炎などの別の病気があって、それが原因で起こる頭痛です。 痛みのもとになっている病気の中には命に関わる重大な病気があり、注意が必要です。 次のような頭痛の症状が出た時には、迷うことなくすぐに診察を受けましょう。 こんな症状の方はすぐに受診を
- 突然の頭痛
- 今までに経験したことのないような激しい頭痛
- 徐々に頻度と程度が増していく頭痛
- 吐き気・嘔吐、めまい、けいれん、高熱、意識障害、運動・感覚の麻痺などを伴う頭痛
- 1~2か月以内に頭を強く打っている
一次性頭痛に対しては、日常生活改善が治療の中心となります。 痛みがひどい時には、投薬する場合もあります。 二次性頭痛に対しては、その原因となる病気を治療することが必要です。
脳ドックについて
脳は私達の意識や感情、学習・記憶、会話などを制御する大切な場所で、一部でも損傷を受けると、身体にさまざまな症状が出てきます。脳は一度損傷を受けると完全な回復が難しいため、後遺症が残ります。介護保険の4割は脳卒中が原因です。脳の病気は発症してから治療するよりも、発症を未然に防ぐことが重要です。当院では脳疾患の予防と早期発見を目的とした脳ドックに力を入れ取り組んでいます。
MR(磁気共鳴画像撮影)機器を使い脳の健康状態を見るだけでなく、血液検査や尿検査、心電図検査などにより、脳卒中の原因となる動脈硬化の危険因子についても検査いたします。
MRI(磁気の力を使い脳の断面を撮影する)、MRA(磁気の力を使い頭蓋内や頚部の血管を撮影する)による画像検査を主とした一連の検査によって自覚症状のない脳の病気(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞など)の原因となる脳血管病変やその危険因子、無症状あるいは些細な症状の脳腫瘍や認知症などです。
MR検査では、磁石の力で、身体の内部や血管の状態を調べます。 従って放射線の被曝の心配はありません。
脳ドックは完全予約制になります。あらかじめ電話にてお申し込みください。
※検査において特別な準備は必要なく、身体への負担はほとんどありません。
ただし、心臓ペースメーカーや人工弁を使用している方、手術や事故で金属が体内・体外にある方などは検査をお受けできないことがありますので、お申し込みの際にご確認ください。
<ガイドライン一覧>
- 脳卒中治療ガイドライン 2015
- 慢性頭痛の診療ガイドライン 2013
- パーキンソン病診療ガイドライン 2018
- 定位・機能神経外科治療ガイドライン 第3版
- 正常圧水頭症診療ガイドライン
- 高血圧治療ガイドライン 2014
- てんかん診療ガイドライン 2018
- 脳ドックのガイドライン 2008
- 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン 2009
医師プロフィール
氏名 | 役職 | 専門分野 | 資格 |
---|---|---|---|
西方 学 | 脳神経外科部長 |
脳神経外科一般 | 日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 |
旭 雄士 | 非常勤医師 | 定位・機能神経外科 頭痛 |
日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本頭痛学会専門医・指導医 日本定位・機能神経外科学会機能的定位脳手術技術認定 |